医師の進路 皮膚科医になるには

2021年7月2日

こんにちは。皮膚科医ボブです。

今回は皮膚科へ進む事を検討している医学生・研修医の方々に向けた記事です。

進路選択の参考にしてもらえたら幸いです。

関連記事:医師の進路選択 皮膚科と形成外科 

 

皮膚科医になる

日本は診療科の標榜が自由です。

なので医師免許を持った者が、自分は皮膚科医だと名乗ればその時点で皮膚科医です。

ただ現実には、研修も受けずに特定の科の医師を名乗るなんてこのご時世ではレアケースですよね。

初期研修終了後、希望する科に入局(入職)してから徐々にその科の医師として社会的に認知されていくのが普通だと思います。

なので皮膚科医になるのであれば、皮膚科医としての研修を積める病院に入職するのが通常の第一歩でしょう。

ただし、その後に皮膚科専門医を目指す道と目指さない道があります。

今日はこの辺りも含め、細かく説明したいと思います。

まずはそもそも「専門医とはなんなのか?」という事についてお話します。

 

専門医とは?

2018年度から日本専門医機構による新専門医制度が開始されました。

みなさんご存知、国が新しく定めた専門医養成プログラムですね。

この制度では初期研修終了後の進路として、19の基本領域の中から1領域を選択します。

そして採用された病院での研修プログラムや試験を経て、各領域の専門医取得を目指します。

その後診療科によってはさらに細分化した22のサブスペシャリティ領域(通称サブスペ)の専門医まで取得を目指せます。(詳細は日本専門医機構HP参照)

専門医資格を持っていると、その分野である程度修行を積んだ一人前の医者だというイメージですね。 

 

皮膚科専門医を目指す場合はどんな研修になるの?

皮膚科専門医取得を目指す場合まず初期研修2年目に皮膚科専攻医登録を行い、入職を希望する医局を吟味・選択します。

専門医を目指せるのは基本的に大学病院と一部の大型総合病院くらいです。

その中でも人気の医局を希望する場合は競争率が高いので早めの準備が求められます。

昔は希望した入局先にだいたい入れましたが、これからは狭き門になりますね。

そんなこんなで無事に皮膚科専攻医となったら、ここから研修開始です。

皮膚科はサブスペ領域の設定がない分、研修期間は5年と長めです。

この5年間に、多くの臨床経験・一定数の講習受講学会発表論文作成等が求められます。

全て単位に換算されるので一概には言えませんが、講習は必須・選択合わせて8回、発表5〜8回、論文3〜5本といった具合です。(皮膚科は他科よりも必要とされる論文数が多いです。)

これらをこなすと専門医受験資格に必要となる単位がたまっていきます。

5年間以上研修し、かつ専門医試験を受験するのに必要な単位数を取得できれば研修終了です。

その後専門医試験に合格すると晴れて皮膚科専門医を名乗ることができるようになります。(詳細は日本皮膚科学会HP参照)

ちなみにさらっと書きましたが皮膚科専門医試験は難易度高めです。

一番難しい専門医試験は脳外科だというのは有名ですが、皮膚科の問題もかなり細かい事を聞いてくるので結構な勉強量が必要です。

そんな努力は必要ですが、皮膚科専門医を目指すのは皮膚科医にとって王道のキャリアだと思います。

専門医資格を得た後は大学病院に残る・別の病院に就職・開業など、それぞれの道に別れていきます。

 

皮膚科専門医取得を目指さない道

こちらに関しては選ぶ人が少ないのであまり情報がありません。なので考察メインです。

シンプルに考えると、専門医を目指さずに臨床をみる皮膚科医になる方法は2パターンです。

1.初期研修終了後に直接雇って貰える病院を探す

このパターンでは、まず受け入れてくれる病院があるか否かというハードルがあります。

地域により異なるかもしれませんが、皮膚科経験のない3年目医師を皮膚科医として雇ってくれる病院は少ないでしょう。

また皮膚科医の上司の有無により、皮膚科医としてのスキルアップ度合いに差が生じると思います。

親族が皮膚科開業医で、そこへ入職できるのであればアリかもしれませんね。

2.開業する

さらに特殊です。理論上不可能ではないですが、実際にいきなり開業する人は滅多にいないでしょう。

初期研修のみで得られる皮膚科の知識は限られているため、相当困難な道になると思われます。

もし医学以上にマーケティングや経営に長けていれば成功する可能性もあるかもしれません。

 

皮膚科医になるには まとめ

要するに皮膚科医を志すのであればとりあえず専攻医になっといた方が無難というお話でした。

専門医を目指さずに皮膚科医としてキャリアをスタートさせるのはなかなかイバラの道です。

ただ落とし所として、初めは皮膚科専攻医となり、スキルに自信が持てた時点で途中退職するといった方法は考えられます。

現実的に、最初は専門医取得を目指していても様々な事情でこの道を選択する先生もいます。

当然そういった先生に支えられている患者さんも数多くいると推察できるので、個人的にはそんなキャリア選択もありだと思っています。

また専門医取得に関わらず、美容皮膚科に進む道もあります。このあたりはまたいずれ触れていきたいと思います。

皮膚科専門医試験に関して質問などあればお受けしますので、コメント欄までお願いします。

それでは今日はこの辺で。

皮膚科医ボブ


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